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本書『Out Of Style』には、東京渋谷区外苑前に1990年代前半から約20年間あったアンティークショップOut Of Styleに魅了された、デザイナーであり写真家でもある橋本すみれが撮影した記録写真75点が収蔵されています。

フィルムカメラが捉えたのは薄暗い照明の店内の様子と、そこに展示されていたオブジェの数々。それは今はもう観ることはできないショップの店主であり造形作家でもある、広瀬良二の作品たちです。

撮影から本が出版されるまでに、約15年の月日を経て、本の装丁から写真の選定・デザインまで広瀬良二と橋本すみれが話を重ねながら完成させた一冊です。

巻末には、Out Of Style店主であり造形作家の広瀬良二が、90年代から外苑前において、独自の世界観で多くの人を魅了した店への思いが込められた寄稿「仄かなOut Of Style」と、橋本すみれによるOut Of Styleとの出会いから、長い年月を経てこの写真集を出版するに至った経緯やこの本に込める思いを語った「甦る記憶が明日を照らすとき」が収められています。2人のアーティストが共有するOut Of Styleの記憶と、それにまつわるそれぞれの葛藤もご覧いただけますと幸いです。

フィルム写真に刻まれたOut Of Styleを、体感していただけますように。


◆アンティークショップ「Out Of Style」
1990年代前半から約20年間、東京渋谷の外苑前でノンジャンルの中古インテリア雑貨、書籍、家具、古着、アクセサリー等を、展示販売していたアンティークショップ。江戸時代の和物から’70年代の外国のものまで、店主の卓越した審美眼によって選ばれたモノたちと、店そのものが醸し出すアンダーグラウンドな 雰囲気が、多くの人を魅了した。2012年に惜しまれつつも閉店したが、店じまいまでの数年間は、店主が古い素材を使い作ったオブジェ・照明を中心に展示販売する店に特化していた。
店名となっていたOut Of Styleは、現在は造形作家として活動する店主・広瀬良二の代名詞として使われる ことがある。